2009年12月14日

小夜衣の詩@2年冷温熟成

小夜衣の詩を実験的に冷蔵庫内にて2年冷温熟成させました。

小夜衣は菊川市、菊川駅前にあります森本酒造の銘柄です。

名前こそ女性っぽいですが、ガツンとくる男性のようなお酒。
小夜衣の詩@2年冷温熟成

純米吟醸で日本酒度は+0.5ですが、けっこうな辛さに感じます。
小夜衣の詩@2年冷温熟成
これを飲ませて日本酒度は?と聞けば、最低でも+8と答える方が多そうです。
いかに日本酒度が味覚上の感覚と一致しないかがこの1本でわかります。

ラベルには地酒の詩が書かれています。
この詩を書いたのは、丸河屋酒店からも近所の弥勒に住む
元静岡県酒造組合専務理事の栗田覚一郎氏であります。

数年前にお亡くなりになりました。
私は栗田さんからは静岡県の蔵元さんのいろんな歴史話を教わりました。
お酒よりも蔵元の人となりについてです。
各当主の幼少の頃からの話も聞かせていただきました。

まさに静岡県の蔵元の生き字引でありました。

私の造った大器晩成の字も書いてくださったし、
おんな泣かせの箱の字も栗田さんの字です。

静岡や東京で開催される「静岡県地酒祭り」のタイトル字も栗田さん。
以前私にこうもらしていました。

「静酉会は私に許可なく、勝手に私の字を使っている!」

 まるで、都合のいいときばかり、利用しやがって、って感じでした。


「秋も好き、そしてそれから静岡の酒も」

 見おぼえありますよねえ。

 このタイトルは栗田さんが考えたもので、地酒祭りに使うためではありません。

 本人も家族も認めていません!!!


小夜衣の詩のラベルにもある地酒の詩は、
栗田さんが静岡県酒造組合を退いてから書かれたもので、
各蔵元に手書きで書いた色紙を配っていました。

小夜衣だから小夜衣の詩となります。

小夜衣の詩は私と蔵元と栗田さんをつなぐ絆であります。

銘酒小夜衣の中にあって、私の精神的な中心的存在酒。

1年に幾度となく飲み、蔵元である森本さんの顔を思い出し、
栗田さんとの思い出も思い出しています。


今夜思い出したのはこんな話です。

私がある飲み屋さんでひとりで飲んでいたところ、
そこに3名の男性(酔っている)が入ってきました。

それが栗田さん、河村伝兵衛先生、小関先生(山形県技師、後に十四代を育てる)です。
昼間は静岡県の東部から中部の蔵周りをいっしょにして、夜は杯を酌み交わし、
また翌日は中部から西部の蔵周り。

詳しいことは書けませんが、この時の栗田さんがとっても面白かったです。
私も酔っていましたから、確かなことかどうかはわかりません。
栗田さんを自宅まで送っていきました。
自転車では危ないので、歩いていこうと引っ張っていきました。
石につまづき、額をぶちました。
額に傷が出来てしまいました。

翌朝、栗田さんは傷を見てしまった奥さんから、
そんなに飲むなとお叱りを受けるのですが、
奥様にはこうおっしゃったそうです。

「丸河屋にたくさん飲まされたからだよ・・・・・。」

いやあ、私としては、上のメンバーでは、たくさん飲めませんし、
栗田さんはすでに出来上がっていたような・・・。

奥様からは白い目で見られてしまって・・・。


まだまだいろんなことがありました。

こういうこともあるのもお酒があってのこと。

小夜衣の詩で、こういうことを伝承させていきたいなあと思います。

栗田さんから聞いた蔵元さんらのもろもろの話は、
蔵元のさんらの個人的なことですので、
私のハートにとどめておきます。



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Posted by 丸河屋酒店 at 20:30│Comments(2)日本酒
この記事へのコメント
いろいろ歴史を感じます…。
そういうことを思い出しながらそういうお酒を呑む。
もしくは、そういうお酒を呑むとそういったことを思い出す…。

自分の味覚と日本酒度が一致しないなんてことはよくありますが、
味覚と想い出が一致することはよくありますよね…。

…飲み過ぎると記憶すら残りませんが(笑)

お酒は不思議な飲み物ですね
Posted by 鈴木酒店鈴木酒店 at 2009年12月14日 22:03
鈴木酒店さん、

ほんと、量によって、善にもなり悪にもなり。
お酒自体に罪はありませんが、
人によって、変わってきますね。

>…飲み過ぎると記憶すら残りませんが(笑)
残っている記憶がはずかしいことばかりですと、
翌日でも開いた穴に入りたくなりますね。
Posted by 丸河屋酒店 at 2009年12月15日 10:45
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