2011年03月27日

静岡酒、この名役者、この名演技4.「次なる一手」

 静岡地酒研究会の鈴木真弓さんのWEB酒場静岡吟醸伝に寄稿しています。

 「静岡酒、この名役者、この名演技」の第4章です。

 時は平成の初期のこと。お茶処静岡にあって、
これほど酒業界が盛り上がったことがあったでしょうか?

 バブル景気にも支えられ、大吟醸があちらこちらのお店に置かれていました。
本来は鑑評会など技術を競うために、ほんの少しだけ生産されていたのであります。
大吟醸では商品化できないために、二級酒に混ぜてしまったりしていた。
それがどこにでもあるくらいになったわけです。

 地酒ブームは大吟醸が主役であったわけです。
 静岡の大吟醸をメインに打ち出す酒販店も多くなりました。
 酒業界のみならず、一般消費者にまで浸透しはじめた静岡酒の実力。
 東海四県の業界内でも地味な存在であった静岡県が一躍ヒーロー的になり、
他県を翻弄するかのようでありました。

                       ◇
 静岡酒をここまで引っ張ってきたのは、わかりやすさからすれば、
それはやはり静岡酵母でありましょう。

 静岡酵母も1つだけではなく、いろんなタイプが生み出されていくこととなります。
 平成の初期は本醸造クラス向きなNO-2と吟醸に適したHD-1が主流でした。
やはり開発の目的の第一は鑑評会で入賞などといった最先端の要素を持ち合わすこと。
となると、どうしても吟醸酒用酵母となります。

 名古屋国税局の鑑評会で首位、文字通りに東海4県でトップになった志太泉。
 主(第1章に登場)としてもこれは自身や静岡酒にとっても快挙であり、
業界としても相当な意味合いを持っていたことでしょう。

 次にトップになるのはどこの蔵か。
 そしてトップで居続けるためには、常に最先端な要素が必要。
 最先端な酵母が必要でありましょう。

         ◇

 主は託します。ある酵母をある蔵元らに。
 自信作である新酵母。
 熱心なあの蔵なら、納得のゆくお酒が出来る。
 あの蔵ならトップを取れる。
 さて、主の目論見はうまくいくのか?
 次の一手は成功するのでありましょうか?

 私はオンタイムでそのお酒を味わいました。
 ある蔵元らに託した新しい試みの1本を。
 私の酒人生にも大きな影響を起こした1本であります。

 結果。
 首位を取れませんでした。
 主もこれには残念がりました。
 このお酒がトップを取れないとは信じられない。
 何かがおかしいのではないか?

 私はトップを取った志太泉も飲んでいますし、このお酒も飲みました。
 相当にすごいお酒。
 完成度が高いお酒。
 蔵元の魂が乗り移ったお酒。
 威厳がありオーラがありました。 

 では、どうしてトップを取れなかったのか?

 それは新しい潮流がはじまるからであります。
 新しい潮流が主流となる日が来るのです。
    
   ◇

 さて、静岡酵母を使ったそんなにすごいお酒でどうしてトップを取れなかったのか?
 新しい潮流とは何なのか?

 ・・・

 次の章に続くということにしておきましょうか。


タグ :静岡酵母

同じカテゴリー(講演・講座・執筆)の記事画像
焼酎ナビゲーター取得講座開講だよ!
東海大学短期大学部「フードサイエンス」にて講演
フードサイエンス開講迫る!
イチゴ酒とコーヒー酒講座@藤枝市
いちご酒とコーヒー酒講座
ワインの基本~そしてボジョレーを開講
同じカテゴリー(講演・講座・執筆)の記事
 焼酎ナビゲーター取得講座開講だよ! (2018-07-16 22:41)
 東海大学短期大学部「フードサイエンス」にて講演 (2018-02-16 23:11)
 フードサイエンス開講迫る! (2018-02-10 21:52)
 熊本のお酒のお勉強 (2016-10-28 17:44)
 日本酒ナビゲーター・焼酎ナビゲーター認定講座 丸河屋酒店内 (2016-08-23 16:07)
 イチゴ酒とコーヒー酒講座@藤枝市 (2013-03-05 19:32)

Posted by 丸河屋酒店 at 20:39│Comments(0)講演・講座・執筆
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
静岡酒、この名役者、この名演技4.「次なる一手」
    コメント(0)