2009年06月01日

きき酒テクニック3:しぼり癖

 お客様から質問されました。

 「お酒が赤いのですが、何ででしょう?」

 「丸河屋さんで買ったのではなく、T屋さんで買ったSSの特別純米酒なんですが。」

 「丸河屋さんで買った本きき猪口を使ったら、その色に気づきました。」

 「透明なグラスだったら、わからなかったかもしれません。」


 御来店いただき、そのお酒を持ってきてくれました。

 その場で判断してあげたかったのですが、まだ営業中でしたので、
 店のシャッターをしめてからきき酒しました。

 透明なグラスに注いでみました。
きき酒テクニック3:しぼり癖
 写真ではわかりにくいですが、何となく赤みを帯びているようであります。

 先入観なく、飲んでしまえば、気が付かないくらいの色具合です。

 きき猪口に注いでみました。
 本きき猪口ではない方ので確認してみました。
きき酒テクニック3:しぼり癖
 これも写真ではわかりにくいですが、肉眼では、
 赤く色がついているなあとはっきりわかります。


 きき酒してみました。

 香りは生の赤い果実を思わせます。
 お客様もイチゴのような香りがするとおっしゃっていました。

 口に含みました。

 一瞬で判明しました。

 これは典型的な「しぼり癖」であります。

 「袋香」(ふくろか)とも呼びます。

 発酵が済んだもろみは搾られます。
 袋に入れて、重力や加圧によって搾り出される方法や、
 アコーディオンやじゃばらのようなやり方で、大きな機械で両横から圧力を加えて
 しぼり出される方法が一般的であります。

 この時使う袋状の物や板状の物に雑菌が付いていると、搾るお酒に影響します。

 口の中であきらかにわかる異常な味わい。

 ビリビリッと電気が走りながら、渋味を感じます。

 飲むには不適格であり、私は口から吐き出してしまいました。


 搾る時の癖がつくことはよくありますが、癖を取るために、
 活性炭などを使って濾過します。


 この蔵は、生産量と作業量との差があるために、
 せっかくうまく発酵させても、最後の搾りで台無しにしてしまったようです。


 ちなみに、赤みがかる理由はいくつかあります。

 今回は雑菌のいたずらであるわけです。


 そして、このしぼり癖を好む方もいらっしゃいます。

 嗜好性の問題ですから、仕方ありません。



同じカテゴリー(きき酒テクニック)の記事画像
きき酒テクニック6:生老ね(なまひね)
きき酒テクニック5:は桶酸化臭
きき酒テクニック4:ブレンド(合酒)
きき酒テクニック2:粉雪(淡雪)のような
きき酒テクニック1:雪解け水のような
同じカテゴリー(きき酒テクニック)の記事
 きき酒テクニック11:瓶香 (2009-07-15 20:30)
 きき酒テクニック10:グラス臭 (2009-07-13 20:30)
 きき酒テクニック9:瓶詰直後臭3 (2009-07-12 20:30)
 きき酒テクニック8:瓶詰直後臭2 (2009-07-09 20:30)
 きき酒テクニック7:瓶詰直後臭1. (2009-07-08 20:30)
 きき酒テクニック6:生老ね(なまひね) (2009-07-03 20:30)

Posted by 丸河屋酒店 at 20:30│Comments(2)きき酒テクニック
この記事へのコメント
こんばんは。
昨日は、東京まで「SSIの勉強会」へ行ってきました。
ダブルヘッターでした。
・「SSI 研究室専属テイスター育成会」am10:00~pm3:00
・「地酒検証会 静岡編」pm5:00~pm7:40
地酒検証会では、急遽、ゲスト講師になり緊張しました。今度、静岡県の蔵元さんのこといろいろ教えて下さいね。
では、では、、
Posted by 酒のすーさん酒のすーさん at 2009年06月01日 22:57
 >酒のすーさん

 東京でのお勉強会お疲れさまでした。
 午前と午後の2回。

 私だったら、どこかに遊びに行きたくなりますよ。
 東京は観光地でもありますし。

 また、S.S.I.については教えてくださいね。
Posted by 丸河屋酒店 at 2009年06月02日 08:24
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
きき酒テクニック3:しぼり癖
    コメント(2)