2008年12月13日

生ビールから瓶ビールへシフト

 ビールの容器は缶が主流となり、瓶は一般家庭用としては、ほぼ消滅した感じでいました。

 飲食店では、缶ではなくって、生か瓶が選べるようになっているのが一般的であります。

 いまどきは、他人のグラスに継ぎ足すこともあまりしない風潮ですし、
 「とりあえず生」が合言葉。一昔前は「とりあえずビール」でしたが。

 だから飲食店では瓶ではなくって、生が主流。


 ビールメーカーは飲食店の方々にも上手に生ビールをそそげるように、
 だいぶ力を入れて指導してきました。

 ここのお店は生ビールが美味しいんだよとお客さんにもわかってもらえるような
 講習会の修了書のようなものも作って、飲食店のお客さんの見えるところに
 飾ってあるものです。

 そして、グラスもめちゃくちゃきれいにして、天子のリングが出るように指導してきました。

 飲食店にしてみても、生ビールは瓶ビールよりも儲かります。

 中瓶1本500円くらいが相場でしょう。
 生だって一杯500円くらい、あるいは瓶よりもちょっとだけ割高な550円とか。

 容量は中瓶が500ml。
 中ジョッキは昔の主流は500mlで、今は435mlです。

 生ビールを頼んだ場合は、ジョッキに泡が乗っているために、実質のビールの容量は
 ジョッキの70%ほどであります。

 生ビールのサーバーを使う場合は、別売りの炭酸ガスが必要です。
 これは信じられないくらい安いですから、生ビールの価格には影響しないほどであります。

 生ビールはサーバーという機械が必要で、瓶ビールは冷蔵庫が必要です。

 以前は業務店ということで、メーカーが冷蔵庫を無償貸出していましたが、10年くらい
 前からは、一切冷蔵庫にはかかわりを持たなくなりました。

 サーバーについては今も昔も貸してくれます。

 これらが飲食店で瓶ビールよりも生ビールが儲かる理由です。
 儲かってもらうことは良い事です。

 しかも生ビールは缶(樽)に入っていますから、光に当たりません。
 生ビールサーバーは瞬間冷却が主流ですから、あらかじめ冷やしておく必要もなし。


 このように生ビールは飲み手にとっても、売り手(流通以外)にとっても美味しいものでありました。



 ところが2008年は変化が起こりました。

 どうも生ビールから瓶ビールへシフトしてきた気配があります。
 特に11月からはこの流れが顕著です。

 年末にかけての宴会があるので、瓶ビールが増えますが、そのことを織り込んでも
 瓶ビールが出てきました。

 宴会も生で通してきたお店の方も不思議がっています。


 生ビールと瓶ビールと缶ビールの中味はいっしょです。
 昔はメーカーによっては違っていたこともありますが、今はいっしょ。

 このことがだんだんわかってきたことも、瓶へのシフトの理由。

 では、味わい的にはどうか?


 味覚としてのビール選びから考えると、プレミアムビールが堅調です。
 つまり味の濃い商品へとシフトしてきました。
 これはビールだけに限らず、発泡酒も第三のビールなどもそうです。
 味の濃さのイメージとしては、瓶が優勢でしょう。
 味が濃くなるにつれて、入れ物は小さくなっていきます。
 黒ビールは小瓶しかないくらいです。

 日本のビールは炭酸が強いです。
 冷たくして飲み、清涼感を十分に味わいたいのが飲み手。

 炭酸は生ビールよりも瓶ビールの方が強く感じます。
 これは注ぎ方にもよりますが、瓶ビールは王冠を抜くまでは、
 炭酸が逃げていません。


 私が最大の理由と思っているのは、炭酸がらみの味わい。

 ここ数年は飲み放題でいくら、のお店が増えました。
 こういう場合は瓶ではなく、ジョッキとか、ピッチャーでお客さんのところに持って行きます。
 瓶ビールの場合は、お代わりのときに問題が発生します。
 まだ瓶の中にあるにもかかわらず、追加オーダーしてしまう可能性が高いです。

 ピッチャーをテーブルの上においておけば、ビールがどのくらいあるのか、わかります。

 このピッチャーで飲むビールに問題があります。
 ピッチャーにジャボジャボ注ぎますから、炭酸ガスが逃げていきます。
 しかもピッチャーは量が多いので、すぐには空になりません。
 店員さんが注ぐときに炭酸ガスが逃げて、さらにお客さんのテーブルの上でも逃げていく。
 これでは炭酸の量が多くて、バランスをとっている日本のビールの美味しさは半減してしまいます。


 美味しかったのか、美味しくなかったのか。

 それははっきりと脳裏に刻まれていないものの、次に同じケースに遭遇したときには、
 条件反射的な動きをするのではないでしょうか。

 これが生ビールを頼む際の不安材料になっていると思われます。


 葉茶滅茶な飲み放題サービスをしてきた店は追い込まれているところが多いです。
 これらは生ビールの不信という傷跡を残して去ります。


 これからも残る、心ある飲食店の生ビールは美味しいはずです。


 あなたは瓶ビール派?   それとも生ビール派?


 私は基本的には瓶で、時に店によっては生にしています。

 中味はもともといっしょ。
 後は携わる人がどうかっていうところですよ。



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Posted by 丸河屋酒店 at 22:58│Comments(2)業界裏話
この記事へのコメント
札幌で飲んだサッポロ生ビールは美味しかったです。笑
プレミアムモルツの生はうまいですね。大好きです♪
Posted by moto1976 at 2008年12月19日 20:10
 北海道が日本で一番ビールが美味しい気候と教わったことがあります。

 それでサッポロビールが存在するのですね。
 北海道はヨーロッパに近い気候。

 そこで飲んだら、美味しさで笑顔満面でしょうね。
Posted by 喜び一杯 at 2008年12月20日 08:41
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生ビールから瓶ビールへシフト
    コメント(2)